医学生・研修医の皆様へ
To medical students and residents

放射線科医の一日

K 先生

放射線科7年目、現在1児の母です。放射線診断専門医を取得し、ますます責任感の増した日々を過ごしています。
この文章を読んでくださっている皆さんの中には将来的に結婚・出産・育児を考えている方や現在子育てに奮闘している方も多くいらっしゃると思います。私の日常をお伝えして、少しでも参考になれば幸いです。
毎朝7時半に子供を送り、8時過ぎに出勤します。8時半から9時まで科内の症例提示カンファレンスをしており、それぞれの先生方が曜日担当で興味深い症例を提示し、共有します。Common diseaseから稀な症例まで幅広く学ぶことが出来、すぐにメモを取り知識の整理のためパソコンにまとめています。
9時からは読影業務の開始です。月曜日や連休明けは検査数も多く、見落としをしないように気をつけながらも出来るだけ多くの症例に出会えるように所見をつけていきます。
CT・MRI当番のほか、IVRやCTガイド下生検・ドレナージ、胃透視や注腸造影などを科内で分担していますが、私は現在血管内治療や透視検査からは離れているため、放射線診断科の代表PHSを持ち、他科からのコンサルトを担当しています。普段の読影レポート作成とはまた異なり、リアルタイムでの臨床の先生方とのやり取りは刺激的で気合いが入ります。そして自分の読影が早期診断や治療に貢献できた時は非常にやりがいを感じます。日々読影していると難解な症例に出会うこともあり、教科書や論文を検索し知識豊富な先生方に指導を仰ぎながら、勉強させていただいています。
17時に退勤し、子供のお迎えに向かいます。夜ご飯やお風呂、子供の寝かしつけを行っているとあっという間に21時となり、そこから自分のことに取り掛かります。(子供の寝かしつけと同時に寝落ちしてしまい、明け方に慌てて布団から抜け出すことも度々ですが…。)
夕方からの他科とのカンファレンスや勉強会に参加できないことに歯痒い思いはありますが、この数年でweb視聴できるカンファレンスや学会が増えたおかげで勉強する機会を得られていることが非常に有難いなと感じます。
当院は学会発表や論文作成、抄読会などにも力を入れており、子供が起床するまでの早朝や深夜にこまめに時間を見つけてスライド作りに勤しんでいます。忙しいときは睡眠時間も削られますが、自分の中で知識が結び付いたり整理できる時間はなにものにも代えがたいですし、学会発表は他病院の先生方の見解にも触れることが出来る貴重な機会であり積極的に取り組んでいます。
週末はしっかりと子供との時間を過ごし、公園で遊んだり、夫が時間を作れるときには遠出してリフレッシュしています。
部長をはじめとするあたたかい先生方のサポートにより、仕事と子育ての両立が出来る喜びを日々感じています。
京大放射線科の門は広く開かれており、私を含め他大学出身の先生も多く在籍しています。私の文章を読んで少しでも興味を持ってくださった皆さん、是非京大放射線科に遊びに来てください。お待ちしています。

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N1 先生

放射線診断科2年目専攻医のとある1日。 今日は他科とのカンファレンスがなく、朝はゆっくりだ。病院には9時前に到着し、当番を確認する。MRI当番なので午前中はMRI室でルート確保しながら、精力的に読影に取り組んでいく。
しばらくすると立て続けにPHSの音がなる。救急科から読影依頼だ。早速CTを見て、読影をつけていく。
一段落した10時頃、PHSがなり、消化器内科から膵仮性動脈瘤の破裂に対してのIVR依頼。画像を確認すると、適応がありそうだ。相談しに読影室へと向かう。上級医の先生に早速IVR依頼があることをお伝えすると、バイタルが安定していることから13時からIVRすることが決定。患者さんに会いにいく。お腹が少し痛そうだ。手技の説明をし、同意いただいた。
MRI室に戻り、読影に取り組む。お昼になったので、少し休憩。
13時前にアンギオ室に移動し、IVRの準備。上級医の先生と相談し、使用する機材の確認が完了。IVRが始まる。やっぱりお腹が痛そうだ。どうにかして、痛みがとれたらいいな。バイタルをチェック、問題ないな。動脈穿刺には慣れてきたし、難なくシースは留置できた。カテーテルをSMAに引っ掛けて、造影剤を投与し、問題の部位を確認。ここからは上級医の先生の助手にまわる。難しい手技だったが、上級医の先生の適切な判断で無事成功して終了。
17時か。読影室に戻って読影を再開しようか・・・。読影リストが片付いているではないか。今日のIVRの記録を記載して1日の業務は終了だ。記載終わったぞ、自己研鑽のためにも明日の他科とのカンファレンスの予習をしよう。部長ならどう答えるだろうか?
確認が終わると、19時。帰宅しよう。
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前述の1日は忙しめの日になります。IVRがない日でも、読影があるため、日中はある程度の忙しさがあります。ただ17時半以降には自分のための時間がとることができることが多いです。また読影室に上級医の先生がいらっしゃるので、日中いつでもすぐに相談できる体制が整っています。自己研鑽が必要な部分もありますが、オンコールがない週には野球観戦や釣りなどの趣味に時間を割くことができています。
このように仕事とプライベートのメリハリをつけた働き方ができるところが、放射線診断科の特徴です。もちろん治療方針決定に大きく関与することが多く、責任ある仕事です。読影やIVRで貢献できた際には、プロ(他科の医師)から感謝のお言葉をいただけることがあるのも魅力の1つでしょうか。

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Y1 先生

自分はK病院で専攻医をしていました。日々の業務について記載します。
基本的には読影をメインに行い一次確定(仮確定)し、上級医よりチェックいただきます。大変な業務の中ひとつひとつのレポートを丁寧に添削いただきました。
場合によっては、難症例などは教科書やインターネットで調べながら診断をしていきます。希少症例などは論文検索しても大規模な研究は見つかりにくく、ケースレポートしか引き出せないときがあります。それらと自分の直面している画像所見と臨床医からの情報とを、例えば合同カンファレンスですり合わせ、自分の見立てを伝える過程は常に面白いと思っています。こちら側だけで抱えこむのではなく、画像の向こう側、臨床医や患者にとって有益な情報となりうることを共有できると自己満足を超えて真に意味のあるレポートを書けると考えています。そのため、合同カンファレンスには積極的に参加するようにしていました。
駆け出しの頃は本当に字義の如くほとんど何も分からない状況でしたが、上級医や他科の先生からご指導いただくことでカンファレンスで意見を求められたときにも堂々と発言できるようになれました(見当違いのことも自信たっぷりで答え後で主治医に電話しなおすこともありますが)。
カンファレンスで出た内容を反映させるべく、また日々の撮影に対してもですが、CT、MRIの撮像モダリティに追加指示を入れることも重要な業務です。疾患の感度特異度は、モダリティ選択によって大きく左右されるのですがこれは地道に教科書で勉強することが重要です。
こんな偉そうなことを書いてきましたが自分は時間外に中々たくさんの時間を勉強にあてず飲み歩いたりしていたせいで最近は知識不足が露呈しつつあるので、気を引き締めて頑張りたいところです(滝汗)。
IVRなど緊急処置は、はじめは慣れないものですが、自分が関わることで直接患者に利益を与えられる機会であり、達成感も大きいです。K病院では緊急呼び出しは平均月1~2回程度でした。指導医の先生方は専攻医なりたての自分が助手だったときは怖い思いをされていたかもしれませんが、優しく丁寧に指導いただきました(処置自体の難易度・緊急度が高いにもかかわらず!)。苦手意識はなくなり、むしろ得意になったと思うので(おそらく錯覚)、今でも感謝しております。
K病院は、規模的にも症例が豊富で技師さんのおかげでMRIなど画像の質が高い(MRIは3Tが2台,1.5Tが1台、一日CT,MRIで200件程度の読影数だったような気がします)、専攻医は1,2人で、難症例は自分で探したり、上級医から当てていただいたり、カンファレンスにも積極的に参加できる、(実は専攻医が救急のウォークイン症例を捌くレジデント当直という業務がある)等と充実した環境です。
皆様が当科、当教室、関連施設に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

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N2 先生

大学院卒業後、9時半から15時半までの時短勤務で市中病院に勤務しています。
当院ではUS、透視、血管内治療、USやCTガイド下生検・ドレナージ術など様々な手技も行っていますが、私自身は勤務時間が短いのと、家に未就学児が2人いて、突発的なお休みをいただくことも多いこともあり、CT・MRIの読影と当番が主な業務です。
読影はモニターの前に座ってひたすら画像を見ていく、地味で単調そうな作業に見えるかもしれませんが、化学療法中の方の画像では、前の検査時に比べて随分痩せてしまっているな…でも病変は小さくなっていて治療は効いていそう!と思ったり、術後の熱源検索依頼の画像では、うわ!膿瘍できてしまっている…ドレナージの依頼がくるかもと思ったり、地味であることは否めないですが、心動かされることが度々あります。気がつけば放射線科医になって10年以上経った今でも悩む症例に出会うことはしばしばですが、小さな所見の組み合わせが診断に繋がっていることに気づいた時は本当に面白いですし、依頼医の先生から所見についての問い合わせの電話をいただいてdiscussionするのも楽しいです。
私は各科とのカンファレンスは参加できていませんが、専攻医の先生に任されている科の画像は、専攻医の先生も積極的に所見をつけている印象で、モチベーションの向上や、知識が深まることによりさらに面白くなるという好循環が生まれているのかなと思っています。
15時を過ぎるとお迎えの時間が気になってそわそわ、早く帰らなくてはと焦りつつ、見落としをしないよう気をつけて読影をしています。退勤すると、職場から1時間半ほどかかる保育園まで急いでお迎えに行きます。その後、夕食、お風呂などタスクをこなし、夜は22時には子どもたちと就寝、4時前後に目が覚め何かしようとするも、寝ているはずの子にすぐに気付かれ布団に戻るよう指示される毎日です。
時短勤務していると、勤務時間が短いのに正職員の枠をひとつ埋めてしまっている、という罪悪感がありますし、保育園行き渋りなどで遅刻してしまったり、発熱等で休みをいただいたりする際は職場にも子どもにも申し訳なく、迷惑しかかけていないかなと落ち込むこともあります。今の勤務形態でいいのかと考えてしまうこともありますが、休みをいただきたい旨連絡すると、いつも「了解!大変やね!」 、出勤した際も「子どもちゃん、大丈夫?」などと声をかけていただけ、何とか働けている今の環境には感謝しています。
仕事と家庭とのバランスは誰もが悩むことだと思います。放射線科は比較的仕事をシェアしやすく、オンオフも明確な診療科であることは仕事を続けやすい点だと思います。良い治療のために必要な「診断」の部分に関われることは、やりがいもあります。今は助けていただいてばかりですが、いつか誰かに返せたらいいなと考えながら、辞めずに続けることを目標に細々と働いています。

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N3先生

こんにちは。私は初期研修を修了後、放射線科医となるべく研修をしています。
放射線診断科は時に縁の下の力持ちと表現される存在であることからわかるように、普段はなかなか患者さんの目の前に行くことがありません。そんな放射線科の仕事は想像し難いところも多いと思いますが、簡単に紹介いたします。
日中は主にCT・MRI当番、IVR当番に分かれて業務を行います。
CT・MRI当番では、臨床医の依頼文から診断に必要十分な画像を判断し、放射線技師や看護師に伝えます。毎日多くの検査依頼があるため、時に相談しながら効率的に検査を行います。そのほかの時間は読影に費やします。特に救急の症例は有所見のものが多くとても勉強になるため積極的に読影します。私はまだまだ未熟ですのでレポートを記載するスピードがかなり遅いですが、重要な所見を見逃さないようにしつつ臨床側の疑問にしっかりと答えたいと思いながら所見を付けています。難しい症例があれば、教科書を開いたり、検索ツールを用いたり、上級医に質問をしながらレポートを書きます。上級医はそれぞれに専門分野があり、どなたも質問しやすい空気を持っていますので、しばしば相談させてもらっています。
IVR当番では血管内治療や経皮的腫瘍生検などを行います。手を動かす数少ない機会であり、楽しめる人も多いと思います。事前予習は実際の手技と同じくらい大切です。血管の走行は透視下ではどう見えるのか?どの構造を目印にして正しい血管を選択するか?などをシミュレーションしたり、合併症のなるべく少ない穿刺経路を考えたりしていると、普段の読影での意識も変わっていくと思います。
また、緊急の手技を行うこともあります。止血術やドレナージを行うことが多いです。緊急症例では患者さんの状態が悪いことも多く自分たちの関わった処置によってバイタルが安定する瞬間などもあり、人の命にかかわる仕事なのだと実感できます。
お昼休憩は好きな時間に取ることができます(当番にもよりますが、、、)。最近は読影室で雑談しながら食事をすることが多いです。気持ちをリフレッシュさせて午後の業務へ気合いを入れます。
朝や夕方には科内カンファレンスや他科との画像カンファが開催される曜日もあります。臨床に沿った意見は診療の参考になります。
業務を終えると、毎日おおよそ19時台には帰宅し、教科書を読むなどしてその日の疑問を解決したり、明日以降のための知識を蓄えます。
休日はオンコールでなければ自由に過ごせますので、ゆっくり身体を休めたり、マラソン大会に参加したり、ライブに参加したり、登山をしたりと、それぞれの過ごし方をしているようです。オンオフが明確であるところは放射線科のよいところだと思います。
放射線診断科の生活が少しは想像できたでしょうか。多職種で支え合い、病院全体の診断・治療の質の向上を目指せるよう日々努力をしています。

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Y2 先生

放射線診断科になって3年目、まだまだ分からないことだらけの毎日で、少しでも患者さん、他科の先生そして放射線科上級医の 役に立ちたいという心構えで日々を過ごしています。
朝は7時前に病院に着くように家を出ます。時間外に緊急で撮像されたCTやMRIは有所見のことが多く、放射線科医かけだしの私にとって重要な教材です。通常業務が始まるまでに1件でも多くの症例に触れられるよう、朝ごはんを食べながら読影します。
8時半になると業務が始まります。大きくCT・MRI当番、IVR当番に分かれて仕事を行い、日によっては他科とのカンファレンスに参加します。
現在勤務している病院では毎日200~250件の画像が撮像され、業務開始後は絶え間なく画像が飛んできます。私は未熟なので、読影速度は遅くとも なるべく見落とさないようにと注意しているつもりです。難しい症例に出会った時は教科書や論文を引っ張り、頭をひねりながら自分の言葉でレポートを綴ります。ですが上級医から訂正していただくことも多く、それもまた非常に勉強になります。日々丁寧に添削してくださる先生方には頭が上がりません。優しい先生が多く本当に恵まれた環境です。
IVR当番の日は予定された血管内治療や経皮的腫瘍生検などを行います。患者さんに触れ治療に直接関わることができるので、手技中はもちろん楽しいですが、事前に撮られた画像を見て治療の順序を組み立てたり 腫瘍の組織を予想したりといった事前準備の時間も楽しいものです。(実際に指導医の元で手技を行うと自分の想定外のことが起こり、知識不足を痛感することが多いですが・・・。) 腫瘍塞栓や大動脈治療などではフォローの検査で手技がうまくいったことを確認し、生検の場合は病理結果を見て治療方針に寄与できたことを確認します。そこでやっと安心すると同時に、役に立てたかもしれないと嬉しい気持ちになります。 また平日・夜間・休日いずれでも、止血術や膿瘍ドレナージなどがしばしば緊急で依頼されます。特に止血術では予定検査と違って 患者さんの全身状態が悪く一分一秒を争うこともあります。緊張する場面ではありますが、自分の携わった処置で患者さんのバイタルが安定する瞬間をみると、何とも言えない充足感を得られます。
緊急検査がたてこまなければ、17~18時頃には所見もIVRの手技もおおむね片付きます。業務時間終了後は、興味深い症例のチェックや、自分が読影した症例の経過確認などをして過ごします。一通りチェックが終われば帰路につき、19時には家に帰っていることが多いです。
家ではなるべく教科書や雑誌、論文を読んで少しずつ知識を蓄えますが、息抜きも必要なので休日は映画を見たりしてのんびり過ごします。オンオフが明確なのは放射線科のとてもよいところだと思っています。 放射線診断科は少し華やかさに欠ける診療科ではありますが、臨床医のよき相談相手となり診療を陰から支える縁の下の力持ちで、時にはIVRで救命の第一線に立つこともあります。ほぼ全診療科の検査を読影し、エコーや透視を利用した幅広い手技も行うので、どれだけ勉強してもしすぎることはなく、求めれば求めるだけ知識は手に入る、そんな奥の深い診療科です。きっと多くの人が考えているよりもカッコいい仕事だと思います。興味があればぜひ覗きに来てください。

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I 先生

私は京大病院で2年間の初期研修ののち、K病院で3年間、今の施設に来て半年が経過した放射線診断科4年目の医師です。放射線診断の中では神経放射線診断が好きです。以下、最近の1週間の概要を記します。
特にイベントがない限り読影しています。
月曜日。朝は大抵、救急外来で土日に撮影されたCTとMRIが100件ほど 読影リストに溜まっていて総出で所見をつけます。この時間はなかなかしんどいですが、中には珍しい症例が混じっていて、ずっと会いたかった疾患に出会えることもあり、しんどさの中に楽しさがあります。お昼になると読影室から出て遠くの景色を見ながら食堂で食事をするのが好きです。午後は放射線診断科のカンファレンスがあり、教育的または興味深い症例を持ち寄って共有します。知識の整理や自分の読影を見直す良い機会で好きな時間のひとつです。緊急アンギオ(カテーテルを使った血管内からの止血術など)や CTガイド下ドレナージ、PICC挿入依頼などがなければ、カンファレンス後も読影し19時までには帰宅することが多いです。
火曜日。午前はMRI当番です。診療放射線技師さんたちと確認しながら、とっておき症例のMRI撮像プロトコルを入れることもあります。最近は頭蓋頸椎移行部硬膜動静瘻と思しき症例のプロトコルを考えて張り切っていたのですが、モーション・アーチファクトで画像がブレて、ちょっとがっかり、なんていうこともありました。画像が綺麗に撮れてバシッと診断できると技師さんも我々も誇らしく、臨床の先生にも喜ばれます。
水曜日。第2・4週は朝8時から脳神経内科とのカンファレンスがあり、私は書記をしています。臨床の思考や見立てを直接聞くことができ、得られるものが多い時間です。また海のものとも、山のものともわからない難症例に対して、部長が理路整然と答えられている姿は放射線科医としての憧れです。勉強会で聞いたホットな疾患や所見が出てくることが多いのもこの時間で、最近は神経核内封入体病のparavermal areaの異常信号 (参考:Sugiyama et al. 2017. AJNR Am J Neuroradiol.) を拝見できて大変興味深いものでした。
木曜日。午前に小児放射線診断専門の先生が来られて、小児科とのカンファレンスがあります。読影をしながら、これは!と思った症例はメモします。午後は月曜日と同様に放射線診断科のカンファレンスです。午後5時半からは京大病院の神経放射線グループと合同webカンファレンスがあり、最先端の撮像法で得られた美しい脳や脊髄の珍しい画像を眺められるのは眼福です。
金曜日。予定アンギオがなければ、この日も読影からスタートです。午前は核医学専門の先生が来られて、1週間分のFDG-PETを振り返るカンファレンスがあります。午後は週末を前に緊急CTガイド下ドレナージの依頼があり、午後4時頃から手技を始めることが多いです。上級医の見守りのもと2学年下の専攻医の先生に丁寧に教えてもらいながら進めます。この施設に来てから新しく経験する手技も多く、まだまだレベルアップできることがありそうです。
土曜日と日曜日。平日のほか、月に約1回土日のon call対応があります。外線PHSを持ち帰って普段通り生活するのですが、緊張してしまってなんだか眠りが浅い気もします。時折、PHSに電話がかかってきて上級医と一緒に緊急アンギオに入ります。大抵は緊急止血です。緊急アンギオはなかなか慣れませんが、毎回上級医の頼もしさを感じています。
こんな感じで1週間いろいろありますが、日中に集中して仕事をし、夜や休日は自由な時間が取れるのは放射線診断科の良さのひとつだと実感しています。今はより素早く、より正確に、本質をえぐり出す、より質の高い仕事ができるように日々努力しているつもりです。どれだけ学んでもさらに先に深みがあり常に見果てぬ夢を追いかけている気分ですが、読影レポートに記載した内容が最終診断に結びついたときや 的確な記載を臨床医から感謝されたときなどはほかに替え難い悦びがあります。
この文章をご覧になっているみなさんの将来の参考に少しでもなれば嬉しいです。 ご一読いただきありがとうございました。

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Y3 先生

私は放射線診断科になって約9年目、700床超の地域の基幹病院に勤務しています。
昨年度から産休・育休を取らせていただいており、子供が1歳になったのを機につい先日職場に復帰したところです。
妊娠期間中、悪阻などで体調不良が続いた際にはIVRやオンコール、当直などの業務を免除してくださり、科内の皆様にご迷惑をおかけすることを心苦しく思いながらも、温かく見守っていただけたおかげで無事に出産することができました。
育休中は日々成長していく子供と向き合うことができ、人生においてかけがえのない時間となりました。
仕事に復帰する際にはブランクがあることや育児と仕事の両立が心配でしたが、仕事内容や時短勤務についてフレキシブルに対応していただき、多忙でありながらも充実した日々を過ごしています。
私の1日のスケジュールをご紹介します。
朝5:30に起床して子供が起きる6時までの間に朝食や保育園の準備をします。8時に院内保育園に子供を送り届け、職場に向かいます。8:30から朝のカンファレンス(曜日ごとに症例検討、IVR予習、IVR復習、業務連絡など)に参加、9時から業務開始です。
業務内容はCT/MRI/核医学の読影、撮影室でのプロトコル決定・造影剤注射・急変時対応、透視、IVR、他科からのコンサルト用PHS当番などを分担して行っています。多忙ながらも和気藹々とした雰囲気の職場で、かつ様々な分野の専門家が揃っており、診断に難渋する症例や珍しい症例等を見つけると皆でモニターを覗き込んで白熱したディスカッションが始まります。知らない病態や疾患に出会った時には純粋に面白い!と感じますし、主治医が想定していなかった疾患に気付いたり、患者さんの治療に大きく貢献できるようなアドバイスができた時には大きなやりがいを感じます。
夕方、時短勤務で17時過ぎに退勤し、保育園に子供を迎えに行きます。18:30頃帰宅して大急ぎで子供の夕食を作り食べさせ、お風呂に入れ、就寝準備、寝かしつけをします。21:30子供が寝た頃に夫が帰宅、夕食を済ませ、保育園で泥だらけ、米粒だらけになった子供の洗濯物を洗い明日の準備をします。0時に就寝するまでの時間を自己研鑽の時間にあてています。
このようにドタバタな毎日ですが、職場の皆様のあたたかいサポートのおかげで、なんとか仕事と育児を両立することができており、感謝が尽きません。正直なところ、時短勤務であることや、オンコールや当直など負担の大きい業務を免除していただいていることで、その業務を分担してくださる方に対して申し訳ない気持ち、後ろめたい気持ちが大きいです。また、思うように自己研鑽の時間が取れず歯痒い気持ちもあります。ですが、せっかく子供のために使う時間をいただいているので、今は精一杯子供と向き合い、いつか子供の手が離れた時には恩返しができるように、自分なりに頑張っていきたいと思います。

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M 先生

放射線科医として現在4年目になりました。これまで、様々な施設で様々な症例や施設ごとの違いに触れ、刺激的な毎日を過ごしています。以下では私の平均的な1日を記します。
後述するとおり、私は早い時間に就寝するので、朝は大体4:30-5:00の間に自然に目が覚めます。そして電車が混雑する前に電車に乗り、端の席に座ります。家庭の事情で通勤には1時間強かかる場所に住んでおり、通勤には多少時間がかかりますが、電車の中で過ごす時間は家庭や職場から解放され、自由に使える非常に貴重な時間となっています。大抵ノートパソコンを開き、コードを書いたり、論文や雑誌などのPDFを読んだりして過ごします。
病院には6:30ごろに着き、朝食をとりつつ、最近では専門医試験の勉強をしたり、夜間に溜まった画像の読影をしたりして始業までの時間を過ごします。また、日によっては8:00から部長による骨軟部のレクチャーやカンファレンスが入ることもあります。
始業後はCT、MRI、核医学などの当番となります。撮像プロトコルの入力、注射番、造影剤アレルギー対応などの仕事をしつつ、次々と撮像される画像を読影し、所見をつけます。悪性腫瘍術後の再発チェックやフォローの画像が多く、大きな変化がないこともありますが、油断すると重要な再発所見や、全く関係ない箇所の重要な偶発所見を見落とすことがあり、気を抜けません。同じ画像を上から下まで行ったり来たりして、くまなく所見を拾い、所見と解釈を記載し、仮確定のボタンを押します。そのまま確定所見となることもありますが、見落としや解釈違い、病歴の把握が不十分なことがあり、場合によっては上級医から大幅な訂正がされることもあります。その都度、自身の至らなさを反省しつつ、上級医の所見と画像を再度照らし合わせ、それを新たな糧とするよう心がけています。これと並行して、1日10件ほど、胸部や腹部、小児などの単純写真の読影が割り振られます。難しい症例は部長とディスカッションをしつつ、所見を完成させます。単純写真は名前とは裏腹に非常に奥が深いモダリティです。午後も同様の当番をしたり、IVRの手技に入ります。
業務はなるべく時間内にすべて終わらせるよう心がけており、大抵は終業時間の17:15に帰路につきます。帰りの電車も同じように京都駅から座れる電車に乗り、端の席でノートパソコンを開いて勉強などをします。
帰宅後は妻と家事を分担しつつ、合間に勉強などをして過ごします。子供を風呂に入れて、ビールを飲んで、大体10:00-11:00には就寝します。
上記のように、放射線科の仕事は時々IVRや緊急読影依頼などが来るものの、他科と比較してイレギュラーなイベントが少なく、自分のペースで仕事を進めることができるのが特徴です。しかし、日々の業務で解釈に困るような画像に直面したとき、適切な鑑別を挙げられるかどうかは日々の勉強の積み重ねが反映されます。それは日常の業務をこなすだけでは困難で、業務外の合間をぬって勉強する時間を確保せねばなりません。勉強をするかしないかも自分の裁量のうちであり、放射線科は極めて自主性に任された科であると言えます。自分のペースで進められる環境は自主性と表裏一体と言えますが、そのような環境を楽しめる方には放射線科は非常におすすめできる診療科と思います。この文章を読んで興味を持たれた方はぜひ一緒に働きましょう。

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H 先生

放射線診断科3年目の専攻医です。2年間市中病院で過ごした様子です。
子供を保育園に送り届け、8時過ぎに出勤します。
今日のdutyを確認します。日によってCT・MRI当番、IVR当番、エコー当番、消化管造影、CVポート挿入があります。施設にもよりますが、意外と読影以外の業務もあります。
今日は午前中にエコー当番、午後は生検が1件です。生検はリンパ腫疑い。CTでは外腸骨領域のリンパ節が3cm程に腫れており安全に検体量が確保できそう。上級医にも相談して、穿刺経路を午前中のエコーで確認することになりました。
エコー当番をしていると先ほどの患者さんがやってきます。CTとのFusion imagingを用いて、血管などの構造物を避け穿刺経路を決めます。血管との距離も充分とれるし、CTの読み通り外腸骨リンパ節を狙うことにしました。事前評価がきちんとできていると実際の手技もスムーズに進み、患者さんの負担も軽くなります。後日病理診断がついて治療が始められました。この時は、少し役に立てたかなと嬉しい気持ちになります。
合間を縫ってCTやMRIの読影をします。画像を見て教科書や検索ツールで調べながら、まずは自力でレポートを記載します。レポートは臨床医に届く前に診断専門医の先生方にチェックしていただきます。難しくて迷った症例では直接相談にいきます。どの先生も快く応じてくださり、相談する中で自分になかった思考回路や鑑別を教えてもらい、勉強になることが多いです。
曜日によっては科内のカンファレンスや他科とのカンファレンスがあります。科内カンファレンスでは珍しい症例や教育症例、相談症例などが提示されます。実際の症例を共有できる点は、他科にない放射線診断科の特徴のひとつだと思います。
保育園のお迎えがある日は17時過ぎに退勤します。それ以外でも18時ごろには業務が終わっていることが多く、時間がある時は気になった症例の経過を追ったり、業務中に生じた疑問を調べたりします。
月に1回程度、緊急IVRで呼ばれます。
普段の予定IVRでは血管解剖や患者情報を把握して臨みますが、緊急症例では時間も限られ患者さんの状態が悪いことも多く、緊張が走ります。この間の大網出血の症例では、止血したものの血圧があまり回復せず、部長の先生が出血による腹部コンパートメント症候群を疑ってドレナージを追加し、持ち直した症例がありました。画像から病態を把握し、次の治療に繋げられる瞬間は放射線科の醍醐味だと思います。今はまだまだ未熟ですが、そういった診断ができるよう、地道に努力したいと思います。
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育児との両立に関して少し追記します。
放射線科はオンオフが明確で、時間内に大部分の業務が終わることが多いです。
育児と仕事の両立は比較的しやすく男女問わずコミットしている先生が多い印象です。子供の熱などで突発的な休みが発生してしまうこともありますが、快く休ませていただける環境には頭が上がりません。今助けていただいている分は、自分が将来の子育て世代に還元できるようにしたいです。
学習時間の確保は常に悩みのタネです(基本は子供が寝てる間)。オンデマンド講演など学習環境は整っているので、せめて昨日の自分より知識を増やせるよう、隙間時間にコツコツやっていくよう心がけています。

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