医学生・研修医の皆様へ
To medical students and residents

留学者の声

山室 正樹 先生

平成18年春に、京都大学大学院医学研究科(画像診断学・核医学)を卒業いたしまして、同年11月より約1年間、富樫かおり教授のご高配により米国ボストンの Harvard Medical School の関連の Brigham and Women’s Hospital 放射線科の幡生寛人先生のもとに留学させていただきました。Brigham and Women’s Hospital は、Longwood Medical Area の中核病院の一つで、Harvard Medical SchoolやLibraryに隣接しています。

Brighamでは、幡生先生のご指導のもと、院内のリサーチミーティングでの発表を基にして 胸膜悪性中皮腫の画像診断と angiogenesis に関する review paper を執筆させて頂き (Yamamuro M, Hatabu H et al. European Journal of Radiology 64 (2007) 356-366)、RSNA 2007にても発表させて頂く機会を得ました。また、肺野の空洞性病変に関する review paper (Gill R, Yamamuro M, Hatabu H et al. AJR (revised))や、各種症例報告等にも関与させて頂きました。この他、胸部腫瘍のdynamic MRIや、過分極ゼノンガスを用いた胸部換気MRI、MGHでの 128チャンネルコイルおよび 3T MRI を用いた胸部の phantom 実験や心筋 MRS等にも参加、見学させて頂く機会がありました。またBeth Israelの久保武先生(現京大)の胸部CTの読影実験や、同じくBeth Israelの久保滋人先生(現北野病院)の 胸部MRIに関する動物実験施設を見学させて頂く機会もありました。今振り返ってみても大変貴重な体験をさせて頂いたと感謝しています。

私が留学していましたボストンは、研究者や企業の方々を含めて日本人の方が大変多く、日本食等も探せば比較的手に入り易く、また市内や周囲にはフリーダムトレイルやハーバード大学、松坂、岡島両投手のボストンレッドソックス、ボストン交響楽団やボストン美術館、ニューイングランド水族館や子供博物館、近郊のレキシントン、コンコードやプリマス等の観光スポットが数多く存在し、ニューヨークやワシントン、カナダ東部にも比較的近くヨーロッパ経由での帰国も可能で、古い町並みが残り風景も美しく治安も比較的良好で留学先としては大変良い所であったと思います。私のお気に入りはチャールズリバーからハーバード植物園へと続くエメラルドネックレスと呼ばれる緑地帯で、夏には暇を見付けては自転車にて滑走しておりました。私の息子(当時3歳)は、近くの St Mary教会の Pre Kinderに「留学」していたのですが、そこでは生徒約20人中6人が日本人で、日本語でもある程度コミュニケーションが可能だったようです。現地の子供達の他に韓国やインド等各国からの「留学生」もいて、一緒に楽しんでいたようです。夏休みにはボストン近郊の農場のアランデールファームにてサマーキャンプにも参加しました。妻もPre Kinderの日本人のお母さん方とお友達になり、家に遊びにいってケーキを作るなどして楽しんでいたようです。そのおかげで、主に Pre Kinderの近所限定ですが子連れでも行ける日本人の口に合うレストランや、デパートやアウトレットの安売りバーゲン、ディズニー オン アイスやチャンピオン オン アイス、サーカス等の子供向けのショー等の口コミ情報が入り、また妻が長女を妊娠した時にも色々教えて頂き大変助かりました。また、ボストンはハーバード大学やMITを始めとする数多くの大学があり様々な学問のメッカである為か、医学以外にも様々な分野で様々な国から様々な方々が数多く集まる一大集積地といいますか 中心地のような印象を強く持ちました。

このようなすばらしい機会を与えて頂いた富樫先生、大学院時代の指導教官の多田村栄治先生(現坂崎診療所)、そして留学中公私に渡り様々なご指導、ご鞭撻、ご援助を頂いた幡生先生に感謝しつつ この稿を終わりたいと思います。