医学生・研修医の皆様へ
To medical students and residents

留学者の声

有薗 茂樹 先生

この度2010年4月から1年間、富樫かおり教授のご高配により 米国ニューヨークの New York University Langone Medical Center に留学いたしましたので、 ここに報告させて頂きたく存じます。

Langone Medical Center はニューヨーク大学関連の病院群の中核で、 医学部や基礎系の研究室も併設されています。 マンハッタン Midtown の東端にあり、国連から南へ徒歩20分くらいです。

NYU (New York University) Langone Medical Center です。 Medical SchoolとMain Hospital からなる NYU の医療関連施設の中心になり、 放射線科もこの中にあります。 一部の診療科や研究施設はマンハッタン内に離れて点在しています。

放射線科は伝統的に MRI に強く、近隣には Center for Biomedical Imaging という研究施設も持っています。 ここには7テスラの MRI があり、 コイル作成やシーケンスの開発から患者ボランティアの撮像まで、 病院と連携して幅広い研究が行われています。

近隣には研究施設としてCenter for Biomedical Imagingがあります。写真は世界でも数少ない人間用の7テスラ(通常臨床で使うのは1.5から3テスラ以下)のMR装置です。
ちなみにNYU関連施設全体で21台、合計45テスラのMR装置があるそうです。

私がいたのは主に臨床の現場で、 米国の大学病院の仕事をじっくり見学することができました。 上司の Megibow 先生は腹部CTが専門で、私も週の後半は読影室で共に過ごしました。 とてもフランクな方で私にも対等な議論を求められ、 よく意見を聴いてくれました。 腹部診断グループは和気あいあいとした雰囲気で私もその一員とし受け入れてもらい、 1年間居心地良く過ごせたように思います。

研究面では dual energy CT を使った研究をやらせてもらう予定でしたが、 結局私がその分野で参加できた研究はひとつだけで、この点は残念でした。 1年間では腰を落ち着けてじっくり研究するには短いかもしれません。 しかし色々な形で数件の臨床研究に参加することができ、良い経験になりました。 個人的な感想でいうと、よく言われるような「研究に対する欧米人の論理的な思考」を体感するようなことは特になく、 日本と同様にアイデアを出して上司や同僚に相談し(あるいは上司が課題を与え)、 試行錯誤しながら研究を進めていました。 ただ MRI や統計など様々な分野の専門家が協力してくれる点は、日本より恵まれた環境と思います。

スタッフのCho先生の読影風景。 モニタと向かい合って読影するのは日米共通。 NYU以外の画像を遠隔読影することもあります。
上司の Megibow 先生と外来棟のCT室にて。 Dual Energy CT を用いた肝腫瘍のヨード量測定などの研究を行っています。

私どもは高い家賃にめげず、マンハッタン内の病院近くのアパートに住居を構えました。 マンハッタンでは地下鉄がその全域をカバーするように走っており、 タクシーも安く、車を持たなくとも移動は便利です。 治安は意外にも良く、昼間は女性一人で地下鉄に乗れます。 見所を話せばきりがありませんが、美術、音楽、スポーツ観戦、ショッピングとこの世の娯楽が一通り揃っています。 大都会だけあって日本のものも多くは容易に手に入り、 生活に困ることはあまりありませんでした。 また人種が多様なこともあり、様々な国の料理が手軽な値段で楽しめます。 私生活では本当に楽しく充実した一年間でした。

ブルックリンから眺めた Lower Manhattan のビル群。 南北に長いマンハッタン島の特に南半分は高層ビルが林立しています。 Lower Manhattan のウォール街にはニューヨーク証券取引所があり、 世界経済の中心でもあります。
Central Park はニューヨーク市民の憩いの場。馬車が通っていました。
ニューヨークにはメトロポリタン美術館、 ニューヨーク近代美術館(MoMA)といった世界に名だたる美術館があります。 ブロードウェーミュージカル、ジャズライブ、オペラからスポーツ観戦まで、 エンターテイメントには事欠きません。 写真はMoMAで見たゴッホ作「星月夜」。
自由の女神??
タイムズスクエアのネオン街。 (ほとんど人が写っていませんが、 実はこの時テロ騒ぎで辺り一帯が封鎖されていました…)
マンハッタンの夜景。右上に見えるのがエンパイアステートビルです。
イースターのパレードの一コマ。
同左

最後に富樫先生、大阪市立大学教授の三木幸雄先生をはじめ、 留学をサポートして頂いた先生方に深く感謝申し上げます。