講座紹介
Course introduction

核医学・分子イメージング

代表:三宅 可奈江

核医学・分子イメージングの世界へようこそ!

核医学とは、ごく微量の放射線を放出する放射性同位元素(radioisotope, RI)で標識された薬剤を用いて 種々の疾患の診断および治療に応用する医学分野です。 体内に投与されたRIが臓器・組織に経時的に分布する様子を、 検出器を用いて画像化あるいは定量測定することで血流・代謝などの機能情報を得ることができます。 近年は、生体内の遺伝子発現やタンパク・ペプチドといった様々な分子の挙動の可視化をおこなう 分子イメージングの有力な手段としても利用されています。 腫瘍核医学グループは鳥塚莞爾初代教授、小西淳二名誉教授以来の核医学の潮流を受け継ぐなかで CT や MRI といった形態画像診断の著明な発展も取り入れ、 主に腫瘍を対象として機能・形態を融合させた診断法の確立を目指しています。

最新のニュース

2022/09/10
三宅可奈江先生が日本核医学会リターニー奨励賞を受賞しました!
2022/06/11
中本隆介先生が Alavi-Mandell Award を受賞しました!
2022/04/14
子安翔先生が日本医学放射線学会Bayer研究助成賞を受賞しました!
2022/01/20
Universitätsklinikum Essen の Ken Herrmann教授のグループと合同カンファレンスを開催しました。
2021/11/05
子安翔先生が日本核医学会リターニー奨励賞、久田賞銀賞、核医学症例検討会優秀賞を受賞しました!
2021/06/17
Universitätsklinikum Essen の Ken Herrmann教授のグループと合同カンファレンスを開催しました。
2021/06/10
志水陽一先生が2020年度大阪ニュークリアサイエンス協会賞(ONSA賞)を受賞しました!
2021/05/29
子安翔先生が第50回頭頸部・胸部画像研究会にて最優秀発表賞を受賞しました!
2021/04/15
尾谷知亮先生が第80回日本医学放射線学会総会Cypos賞Gold Medalを受賞しました!
2021/01/11
尾谷知亮先生が第15回さんさん会学術奨励賞を受賞しました!
2020/11/13
中本裕士先生が第60回日本核医学会学術総会にて久田賞銅賞を受賞しました!
2020/07/12
野橋智美先生が SNMMI, Center for Molecular Imaging Innovation & Translation 2020 Young Investigator Award, 2nd placeを受賞しました。
2020/04/01
核医学診療部門が新設の中病棟にて新規稼働いたしました。
2019/11/03
石守崇好先生が 第58回日本核医学会賞を受賞しました。
2019/08
子安翔先生が 2019年度 武田科学振興財団 医学系研究助成に採択されました。
2019/08/13
中本隆介先生が Alavi-Mandell Award を受賞しました。
2019/3
中本隆介先生が 2019-2021 SNMMI Wagner-Torizuka Fellowshipを受賞しました!
2018/11/16
中本隆介先生が第58回日本核医学会学術総会にて研究奨励賞を受賞しました!
2018/6/24
子安翔先生が日本学術振興会の “Travel Grant for Attending Lindau Meetings” に採用され、リンダウ・ノーベル賞受賞者会議に出席しました!
2018/6/24
渡部正雄先生が SNMMI Annual Meeting 2018 Masahiro Iio, MD Best Abstract Award を受賞しました!
2018/4
北口耕輔先生が 2018年世界核医学会メルボルン大会若手トラベルグラント を受賞しました!
2018/1/30
子安翔先生が北米放射線学会誌 “Radiology” の優秀査読者賞 (Editor’s Recognition Award) を受賞しました!
2018/1/26
三宅可奈江先生が第10回京都大学優秀女性研究者奨励賞(研究者部門)を受賞しました!
2017/10/7
佐賀恒夫先生が第57回日本核医学会学術総会にて久田賞銅賞を受賞しました!
2017/8/21
中本裕士先生が第15回産学官連携功労者表彰にて厚生労働大臣賞を受賞しました!
2017/7/1
野橋智美先生が Alavi-Mandell Award を受賞しました!
2017/6/13
野橋智美先生が SNMMI Annual Meeting 2017 Poster Award (第一位、General Clinical Specialties) を受賞しました!
2017/6/13
渡部正雄先生が SNMMI Annual Meeting 2017 Poster Award (第二位、Instrumentation and Data Analysis) を受賞しました!
2017/6/11
中本隆介先生と渡部正雄先生が SNMMI Annual Meeting 2017 Masahiro Iio, MD Best Abstract Award を受賞しました!
2017/5/13
中本裕士先生が2017 Asian Nuclear Medicine Academic Forum ポスター賞を受賞しました!
2017/4/13
子安翔先生が第76回日本医学放射線学会総会にて日本医学放射線学会第29回優秀論文賞を受賞しました!
2017/3
野橋智美先生が 2017-2019 SNMMI Wagner-Torizuka Fellowshipを受賞しました!
2017/3
中本裕士先生が2016年臨放表紙賞を受賞しました!
2016/12/26
子安翔先生が平成29年度 日本学術振興会特別研究員(SPD)に採択されました!
2016/11/5
中本裕士先生が第56回日本核医学会学術総会にて久田賞銀賞を受賞しました!
2016/11/5
子安翔先生が第56回日本核医学会学術総会にて日本核医学会研究奨励賞金賞を受賞しました!
2016/6/13
加藤彩子先生が SNMMI Annual Meeting 2016 Masahiro Iio, MD Best Abstract Award を受賞しました!
2016/5/29
子安翔先生が第11回日本分子イメージング学会総会学術集会にて日本分子イメージング学会最優秀発表賞を受賞しました!
2015/3
三宅可奈江先生が 2015-2017 SNMMI Wagner-Torizuka Fellowshipを受賞しました!
2014/5/29
子安翔先生が2014 RSNA Introduction to Research for International Young Academics (IRIYA) Program に選考されました!
2014/2/21
子安翔先生が第33回日本画像医学会において最優秀賞を受賞しました!
2013/6/10
三宅可奈江先生が SNMMI Annual Meeting 2013 Poster Award (第三位、Oncology: Clinical Diagnosis) を受賞しました!

研究メンバー

< 教 員 >

中本 裕士 Yuji Nakamoto 教授
三宅 可奈江 Kanae K. Miyake 高度医用画像学講座 特定助教
子安 翔 Sho Koyasu 助教
志水 陽一 Yoichi Shimizu 講師
野橋 智美 Tomomi W. Nobashi 先制医療・生活習慣病研究センター 特定助教
中本 隆介 Ryusuke Nakamoto 先制医療・生活習慣病研究センター 特定助教

< 顧問教員 >

佐賀 恒夫 Tsuneo Saga 高度医用画像学講座 特定教授
大野 和子 Kazuko Ono 非常勤講師 京都医療科学大学教授
石守 崇好 Takayoshi Ishimori 北野病院放射線診断科 部長

< 留学生・大学院生 >

弓削 瞬介 (D4) Shunsuke Yuge
北野 香雪 (D2) Yurika Kitano
田中 寛彬 (D2) Hiroki Tanaka

< 実験・研究補助 >

幅田 祐莉香 Yurika Habata
大石 妙枝 Tae Oishi

研究テーマ

< 臨床研究 >

18F-FDG PET/CT

18F-2-deoxy-2-fluoro-D-glucose (FDG) を用いた ポジトロン断層・コンピュータ断層複合装置(PET/CT)検査は、 近年がん診療においてますます大きな役割をはたすようになり、平成25年2月現在、 早期胃癌を除くすべての悪性腫瘍の病期診断および再発・転移診断(悪性リンパ腫の治療効果判定を含む)に対して 保険適用が認められています。 臨床研究として我々は、画像モダリティとしての診断学的価値の追求、機能画像としての解析および治療効果判定や 予後予測への応用、の大きく2つのアプローチで臨み、エビデンスの確立を目指しています。多くの優れた放射線診断医 を輩出してきた画像診断グループの一員としての知識を核医学分野において生かすのが我々の特長です。

11C-Methionine PET/CT

必須アミノ酸の一種である Methionine を放射性同位元素 11C で標識した 11C-Methionine を用いた PET/CT 検査は未だ保険承認されていませんが、 日本アイソトープ協会ポジトロン核医学利用専門委員会が「成熟技術」として認定した放射性薬剤のひとつであり、 既に国内の数十施設で臨床研究あるいは自由診療として用いられています。 我々は臨床研究として、他の画像診断法では局在同定が困難な 副甲状腺腫、骨髄腫、脳腫瘍の診断に本薬剤を用いたPET/CT検査をおこない、 その臨床的有用性を確立し検証することを目指しています。

68Ga-DOTATOC PET/CT

ソマトスタチン受容体に高い親和性をもつ68Ga標識製剤である68Ga-DOTATOCは、 神経内分泌腫瘍の診断において非常な威力を発揮するとして、 欧州を中心に臨床応用が展開され、現在最も注目されている放射性薬剤のひとつです。 京都大学では2011年より神経内分泌腫瘍およびFDG集積の低い腫瘍を対象疾患として 68Ga-DOTATOCを用いたPET/CT検査の臨床研究を行っています。 また、腫瘍性骨軟化症の原因となる間葉系腫瘍の局在同定や、 サルコイドーシスにおける有用性を発表しました。研究としての実施は終了しましたが、2021年7月からは新たに自費診療として本検査を受検いただけるようになりました(詳細はこちら)

18F-FSU880 PET/CT

前立腺がんの細胞膜に発現するPSMA(Prostate Specific Membrane Antigen)に 親和性を有するPET製剤([18F]FSU880)が本学薬学部にて開発され、2018年に安全性試験を終了しました。 腫瘍マーカーPSA等の上昇で再発が疑われるが、 CTや骨シンチグラフィなどこれまでの画像診断法で確定できていない場合に本製剤を用いたPET/CTを施行し、 この画像診断法の臨床的有用性を検証しています。(登録はいったん終了し、2021年10月現在検査は行っておりません)

18F-FES PET/CT

エストロゲン受容体発現の有無を知ることは乳癌の治療戦略を決める上で重要です。18F-FES (Fluoroestradiol)は18F標識したエストラジオール類自体で、その集積はエストロゲン受容体の発現を反映します。米国では2020年にFDAの承認を得て、これを用いたPET検査が普及しつつあります。京都大学では2021年より乳癌の患者さんを対象に18F-FES PETの臨床研究を実施しています。本研究ではPET装置としてPET/CTに加えて、乳房専用PETやPET/MRも利用し、18F-FES PET検査の臨床的有用性を検証します。

dbPET

当グループでは当教室乳腺グループ・乳腺外科と共同で、 2009年より先端医療開発特区の枠内にて (株)島津製作所との産学共同研究を開始し、 世界に先駆けてリング型高解像度の乳房専用PET装置(dedicated breast PET; dbPET)の開発・臨床応用に携わってきました。 2016年には当院先制医療・生活習慣病研究センターに市販型dbPETが導入され、 同施設と連携を取りながら乳癌検診における診断能の検証、所見の標準化、画質改善に取り組んでいます。 2020年には本院にもdbPETを導入し、乳癌の精査を目的とした検査も行っております。今後はPET製剤の拡充にも力を入れながら、乳癌診療におけるdbPETの更なる役割を追求します。  

18F-Exendin-4 PET/CT

膵β細胞のイメージング検査である18F-Exendin-4 PET/CTを実施しております。現在、糖尿病・内分泌・栄養内科と共同で、インスリノーマや糖尿病の患者さんを対象にした臨床研究を推進しています。特に、インスリノーマにおいては、既存の画像検査にはない内分泌機能を反映した診断能を有し、責任腫瘍の特定など、診断成績の向上が期待されます。京都大学では、インスリノーマの患者さんにおいて、この画像診断法の臨床的有用性を検証しています(詳細はこちら)

< 前臨床研究 >

fxPET

既存の磁気共鳴画像(MRI)装置に併設することにより、 ポジトロン放出断層撮像法(PET)で得られるPET画像と MRI画像との融合画像が容易に得られる 可搬型PET装置(fxPET)が島津製作所で開発されました。 組織コントラストに優れた MRI と 機能画像として有用性が確立されている PET の画像が融合することで、 詳細な腫瘍の内部形態や viability 評価が可能になります。 腫瘍内不均一性などの予後因子の解明の一助になるかもしれません。 すでに 1.5T MRI との融合画像の研究や、 全身用PET/CTとの詳細な定性・定量的な比較研究が当グループ内で行われました。第3弾の研究として3T MRIとの融合画像の研究を特定臨床研究として進め、成果を発表しました。

機器紹介

< PET >

GE社製の最新鋭PET/CT を3台、PET/MRIを1台、島津製作所製の乳房専用PETを1台導入しています。

● PET/CT Discovery IQ

超高感度検出器 LightBurst Detectorを搭載し、安定した定量精度を実現。 再構成法にはGE社独自に開発された次世代PET画像再構成法である “Q.Clear” を採用することで、 従来の画像再構成法(OSEM)では実現が難しかった「画質」と「定量精度」双方の向上が期待できます。 呼吸による動きへの自動体動補正アルゴリズム “Advanced MotionFree” や CTの金属アーチファクトを低減する逐次近似画像再構成アルゴリズム “Smart MAR” も組み込まれています。

● PET/MRI Signa PETMR

3.0T MRI systemの内蔵Body coilの内側に 半導体 silicon photomultipliers (SiPM)を配列し PET収集と同時のMRI撮像を可能にした PETとMRIの一体型マシンです。再構成法にはGE社独自に開発された次世代PET画像再構成法である “Q.Clear” を採用することで、 従来の画像再構成法(OSEM)では実現が難しかった「画質」と「定量精度」双方の向上が期待できます。 呼吸による動きへの自動体動補正アルゴリズム “Advanced MotionFree” や 金属アーチファクトを低減する逐次近似画像再構成アルゴリズム “Smart MAR” も組み込まれています。

● 乳房専用PET装置 Elmammo Avant Class

円周状に配置した4層構造のDOI (Depth-of-Interaction) 検出器を用いた 高解像度・高感度型の乳房近接型PETシステムです。 乳房の断層像を得ることができ、SUVと言われる定量値測定にも対応しています。 検出器ホールに乳房を片方ずつ入れて検査を行います。 乳房を圧迫せずに撮像しますので、マンモグラフィーのような痛みはありません。
新しい中病棟のRI部門内を入って右側に進み、ブルーで表示されたエリアがPETの検査スペースとなります。 撮像前にはオレンジの椅子にかけて、入室までお待ちいただきます。

< SPECT >

GE社製のSPECT/CT装置が計4台稼働しています。
8列診断用CT搭載型(NM/CT 860)を3台、16列診断用CT搭載型(NM/CT 870DR)を1台運用しています。
新しい中病棟のRI部門内を入って左側に進み、ピンクで表示されたエリアがSPECTの検査スペースとなります。 撮像前にはピンクの椅子にかけて、入室までお待ちいただきます。

話題提供

IAEAと京大病院とのコンソーシアムに基づく国際ワークショップ開催

2021年9月27日~30日に オンラインワークショップ、”Virtual Workshop on the Use of PET/CT in Oncology Including the FDG and Non-FDG PET/CT Imaging of Prostate-Specific Membrane Antigen (PSMA) and DOTA-TATE” を行いました。発展途上国の核医学教育の支援を目的に2018年に国際原子力機関IAEA と日本11施設で締結されたコンソーシアムに基づく国際ワークショップで、京大主催となる今回は腫瘍性疾患に対するPET/CT診断をテーマに、中本裕士先生とIAEAのFrancesco Giammarile先生(IAEA)のもとで開催されました。 セミナーは宮本享病院長の Opening remarks に始まり、IAEA3名、日本10名の講師によって各領域の講義が行われました。各国からの参加者は熱心に聴講し、連日白熱した議論が交わされました。当グループスタッフも力を合わせてサポートしました。 開会の辞をいただきました宮本享先生、講師をお引き受けくださいましたSophie Bourgeois 先生 (UZ Brussel, Belgium)、Thomas Mognetti 先生 (LUMEN Center, Italia)、松本繁巳先生 (リアルワールドデータ研究開発講座)、松尾幸憲先生 (放射線治療科)、菊地正弘先生 (耳鼻科)、髙田正泰先生 (乳腺外科)、三宅可奈江先生 (高度医用画像学講座)、濵西潤三先生 (婦人科)、増井俊彦先生 (肝胆膵・移植外科)、錦織桃子先生 (血液腫瘍内科)、Kristoff Muylle 先生 (UZ Brussel, Belgium)、赤松秀輔先生 (泌尿器科)、小林恭先生 (泌尿器科)、司会を担当された石守崇好先生 (北野病院) ありがとうございました!
   

● エッセン大核医学部門 Ken Herrmann教授のグループと第2回合同リサーチミーティング開催

ドイツ エッセン大との2回目となる合同リサーチミーティングをオンラインにて開催しました。ドイツ側からはFAPI46と放射性ヨウ素治療抵抗性甲状腺がんに関する研究が紹介され、また日本側からは尾谷先生が18F-FSU880 PETの研究を、弓削先生が乳房専用PET装置の乳癌検診における使用経験の話題を提供しました。新しい核種と装置の進歩に目を見張ります。

● エッセン大核医学部門 Ken Herrmann教授のグループと合同リサーチミーティング開催

ドイツ エッセン大との合同リサーチミーティングをオンラインにて開催しました。お互いのチームの自己紹介の後、ドイツ側からはPSMAとソマトスタチン受容体の最新の知見が紹介され、また日本側からは三宅先生が乳房専用PET装置の使用経験を、子安先生がケモカイン受容体イメージングをはじめとするtranslational researchの話題を提供しました。熱心なディスカッションが行われ、2時間がとても短く感じられました。  
 

< 学会報告 >

● 第68回リンダウ・ノーベル賞受賞者会議に参加して

リンダウ・ノーベル賞受賞者会議は1951年に第一回が開設され、 スイスとの国境に位置するボーデン湖に浮かぶ ドイツの街リンダウ(写真:上)で毎年開催される会議で、 一週間程度の会期でノーベル賞受賞者と若手研究者が議論と交流を行うことを目的に開催されます。 開催分野は年ごとにローテーションで、 生理学医学分野は3~4年に一度の開催です。 今回は39人のノーベル賞受賞者と、 80か国以上から約600人の若手研究者が参加しており(日本人参加者は12名)、 得難い経験をすることができたため報告させていただきます。
2020年1月19日-23日に米国コロラド州キーストーンで開催されている、 Keystone symposia “Hypoxia: Molecules, Mechanisms and Disease” に、 当科からも参加いたしました。 Keystone symposiaは分子細胞生物学の研究者を対象とし、 毎年細分化されたトピックでその時期に最も旬な研究者を招き開催されるが、 今回参加した本シンポジウムのテーマとする 「細胞の低酸素応答」は 2019年のノーベル生理学医学賞を受賞した分野であり、 三人の受賞者にfocus するセッションが追加されていました。 21日には子安翔先生が、 p53の制御下に低酸素応答を調整する新規遺伝子の同定と治療戦略について、 ポスター発表を行いました。 昨年のノーベル賞受賞者たちもポスターを訪れてくださり、 その一人で、子安先生と共同研究を行っている Gregg Semenza 先生とは 15分をこえる大変貴重な議論ができました。
 

● SNMMI2019 Annual Meeting に参加して

2019年6月22日(土)~25日(火)に、アメリカの カリフォルニア州アナハイムで開催されたSNMMI 2019 Annual Meetingに当科からも参加してきました。 SNMMI(核医学分子イメージング学会)はアメリカの 学会ですが、アメリカからの演題は全体(1300余り) の3割程度だったようで、中国・日本などをはじめ 世界各国から幅広く参加していました。 アナハイムといえば「テーマパークの街」で、 学会場から歩いても20分くらいで気軽に行けるので、 学会の合間に(~学会場に来ずに?)楽しんだ方も 多かったかもしれません。核医学・分子イメージングの 最新のトレンドに触れることができる学会です。

● 第13回アジアオセアニア核医学会に参加して

2019年5月9日(木)~12日(日)に、上海 Greenland International Convention Centerで開催された 第13回アジアオセアニア核医学会(AOCNMB 2019)に 当科からも参加してきました。 日本・中国だけでなくアジアオセアニア各国から、 また医師だけでなく核医学に従事する放射線技師・看護師も 含め多くの方が参加し、交流を深めていました。 また、アジア核医学専門医試験 (The Asian Nuclear Medicine Board; ANMB)の試験も同時に 行われ、日本人の受験者も頑張っていました。 日本の核医学専門医試験よりやや難しく (全体で受験者48名中39名合格)、 英語の口頭試問などもあります。

< 留学報告 >

● 米国 Stanford 大学 Division of Nuclear Medicine, Department of Radiology ( 中本隆介 先生)

私は、2019 年4月から2年間、米国カリフォルニア州にあるStanford大学のDivision of Nuclear Medicine, Department of Radiologyへの研究留学の機会をいただきました。Stanford大学は当科の三宅可奈江先生、金尾昌太郎先生、野橋智美先生が留学されていた所で、私は野橋先生と入れ替わる形で、臨床の核医学部門であるProf. Andrei Iagaruの研究室にお世話になりました。 私はIagaru教授の研究室で、分子イメージングの研究室より提供された新しいPET薬剤と最先端の半導体PET/CTを併用して得られる、種々の腫瘍内微小環境を反映した機能画像情報を用いた臨床研究を行いました。当研究室では、診療科、研究室、大学の垣根を越えた組織横断的な連携力により、常に10を越える最新の臨床プログラムが同時進行しており、 Iagaru教授の研究室の研究成果の質や量にたびたび圧倒されていました。小さな多民族国家の様な研究室で、一人のアメリカ人医師を除き、Stanfordに憧れて国外から移住してきた医師(ルーマニア、アルゼンチン、スペイン、イラン、ベトナム出身)や研究者(私以外、全員が独身の女医さんで、イタリア、イラン、オーストリア出身)で構成されていました。英語が充分に話せない無名の日本人研究者に対して、留学当初からラボメンバーが公私ともに手厚いサポートをしてくれたのですが、前任の先生方のこれまでのご活躍の賜物であると大変感謝しております。また、Breast RadiologistのProf. Bruce Danielの研究室にもお邪魔させてもらって、マイクロソフトが開発したMicrosoft HoloLensというMixed Realityのヘッドセットを用いたファントム実験のプロジェクトに関わりました。具体的には、3Dの核医学画像を取り込んだヘッドセットを装着することで、ベッドに横たわっている患者体内のセンチネルリンパ節の位置を体表から観察・同定できることを示す研究を行いました。 留学1年目は慣れない環境下で遅々として進まない研究(というよりは諸々の事務手続き)に少々焦りながらも、同僚とのsmall talkで気分が癒やされたり、カリフォルニアの爽やかな青空の下、大学構内の美しい芝生で色々な国出身の若者〜お年寄りとサッカーを楽しみながら、充実した日々を過ごすことができました。子供の授業参観、Iagaru教授宅でのプールパーティー、ハロウィン、Daniel教授宅でのクリスマスパーティーなど、様々なイベント行事にも参加することができました。ところが、ご存じのように2020年3月中旬以降、コロナが全米中に広がり、shelter in placeの指示が出て以来、生活が一変してしまいました。子供の学校は閉鎖され、研究はテレワークに切り替わりました。子供達の妨害に頻繁に遭いながら、慣れないZoom会議でfacultyに指示されたことに沿ってリモートで研究を進めていくことの難しさは予想以上でした。妻の献身的なサポートやアパート近くのchild care centerがオープンしたこともあって、7月頃から研究に打ち込むことができ、1年目よりも大きなプロジェクトを任せて頂ける機会を得ました。また、8月には念願のイエローストーン国立公園、カリフォルニアや隣接する州の様々な国立公園を車で巡ることができました。静寂に包まれた壮大な国立公園の景観の美しさは一度経験すると病みつきになり、連休を利用して国立公園を巡ることが家族の最大の楽しみとなっていきました。物価の高いカリフォルニアにおいて、殆どお金がかからないことも大きな魅力の一つです。コロナ禍の留学2年目は大学で研究することも、イベント行事に参加することも、留学当初の夢の一つであった東海岸へ旅行することもかないませんでしたが、家族とこれまで以上に長く濃密な時間を過ごすことができ、留学して本当に良かったと思っています。 最後になりましたが、この度の留学のためにご尽力いただいた富樫かおり前教授、中本裕士現教授、三宅可奈江先生、野橋智美先生、快く送り出してくれた教室員の先生方に心より感謝申し上げます。
核医学部門のエントランスでIagaru教授(左)とMoradi医師(右)と一緒に
ヨセミテ国立公園のグレーシャーポイントでの家族写真

● 米国 Stanford 大学 Division of Nuclear Medicine, Department of Radiology (野橋智美先生)

2017年〜2019年の約2年間、Wagner-Torizuka Fellowshipにご支援いただき、 米国Stanford大学核医学部門(Division chief: Prof. Andrei Iagaru)に留学いたしました。 現地では、がん免疫療法のイメージングと、人工知能の、二本立てで研究に取り組みました。 まずFDG-PETにおける免疫チェックポイント阻害薬による有害事象の所見や頻度をまとめる仕事をしました。 同時にDimensionalMechanics Inc. (現AI Dynamics Inc.)の協力を得ながら、 Dr. Guido Davidzonの指導のもと、FDG-PETにおける脳の異常有無を 機械学習で検知できるかの研究を行いました。 また、免疫療法の治療効果を早期に確認する画像診断法を提唱すべく、 活性化T細胞を標的とした新たなPETプローブの開発にも携わりました。 お世話になったMIPS (Molecular imaging program at Stanford)の chief, Prof. Sanjiv Sam Gambhir の指導者としての素晴らしいお人柄に触れられたことは 胸の熱くなる経験でした。 Stanford 大学での生活は、間違いなくこれまでの人生で最も豊かな時間でした。 自分はこの年になるまでなんと小さな世界で生きてきたのだろうと思い知ることにもなりました。 何よりも、この間に得た人々との出会いが自分の一生の宝物となっています。
病院の本館です。核医学の臨床部門はこの2階にあります。 この斜め向かいには新病棟が建設され、稼働が始まったところです。
通称クラークセンター。多数のラボが入る研究施設であり、 Gambhir ラボは1階にあります。
臨床研究でお世話になった Andrei のラボメンバー。心温かいドクターたちに支えられました。
Radiology department chair の Prof. Gambhir

● ドイツ ヴュルツブルグ大学 核医学科 (早川延幸先生)

2015年5月から2016年10月までの約1年半、 ドイツのヴュルツブルク大学の核医学科樋口隆弘教授の元に留学しておりました。 留学中は動物実験と得られたデータの解析に携わり、 最初の頃は動物実験のいろはも分からない状態でしたが、 不慣れであった実験機器、実験動物や解析ソフトの扱い方も次第に慣れて参りました。 このラボでは薬学、工学系の日本人のプロフェッショナルの方々が集まり、 他のラボとも協力し、様々なトレーサーを用い幅広い研究を行っておりました。 ここに来ることがなければ絶対に知り合うことが出来なかったであろう人々と出会い、 一緒に仕事を出来たことが何事にも代えがたい財産であったと思います。 ヴュルツブルク大学核医学科には放射線治療病棟もあり、 当時からでは神経内分泌腫瘍や髄膜腫を対象にした 177Lu-DOTATOCによる Peptide receptor radionuclide therapy (PRRT)、 前立腺癌を対象とした177Lu-PSMAなどの治療を行っており、 治療の現場に触れる事もできました。 ドイツに来た当初、日本とは言語も文化も異なる環境に置かれストレスを感じることが多かったですが、 同僚や家族の支え合いともに過ごした日々は大変貴重なものでした。
動物実験を行う建物
治療病室での177Lu-DOTATOC投与中の様子
 
小動物PETによる実験中の様子
世界遺産ヴュルツブルクのレジデンツにて

● アメリカ国立衛生研究所、 分子イメージングプログラム (子安翔先生)

2014年3月末から一年間、日本学術振興会(特別研究員DC1)および 京都大学教育研究振興財団からの援助をいただき、 Maryland 州 Bethesda にありますアメリカ国立衛生研究所 (National Institutes of Health、以下NIH)、 分子イメージングプログラム(Molecular Imaging Program、以下MIP)へ留学して参りましたので 報告させていただきます。 ・・(続きは子安先生留学記へ)

● 三宅 可奈江 先生 ( Stanford University School of Medicine, Dept. of Radiology, Breast Imaging Section) の留学記

● 石守 崇好 先生 (米国ジョンズホプキンス大学放射線科核医学部門) の留学記

● 中本 裕士 先生 (米国ミシガン大学およびジョンズホプキンス大学) の留学記

研究業績

< 2023年 >

  • “Reproducibility assessment of uptake on dedicated breast PET for noise discrimination.” Yuge S, Miyake KK, Ishimori T, Kataoka M, Matsumoto Y, Fujimoto K, Sugie T, Toi M, Nakamoto Y. Ann Nucl Med. 2023 Feb;37(2):121-130. 乳房専用PET(dbPET)における小病変は、時にノイズとの鑑別が問題となる。これを解決するため、視覚評価による従来の読影法に、再現性評価を加えた新しい読影法を提案した。その結果、新しい読影法は乳がんの検出感度を低下させることなく、ノイズによる偽陽性を減少させるために役立つことを示した。
  • “Prognostic value of pretreatment FDG PET/CT in uterine cervical cancer: significance of histopathological types.” Otani T, Miyake KK, Ishimori T, Kido A, Saga T, Nakamoto Y. Asia Ocean J Nucl Med Biol. 2023; 11(2). 子宮頚癌には扁平上皮癌と腺癌の主要な組織型が存在する。それぞれに対して、ステージングのFDG PET/CT画像を用いて予後に対する寄与を検討した。扁平上皮癌ではSUVmax, SUVmean, MTV, TLGいずれもOSとの相関が見られた。一方、腺癌はMTVとTLGはOSとの相関が見られたが、SUVmaxとSUVmeanは予後との関連は乏しかった。子宮頚癌の予後を予測するうえでFDG PET/CTは有用なツールであるが、扁平上皮癌と腺癌で有用なパラメーターは異なる可能性が示唆された。
  • “ZBTB2 links p53 deficiency to HIF-1-mediated hypoxia signaling to promote cancer aggressiveness.” Koyasu S, Horita S, Saito K, Kobayashi M, Ishikita H, Chow CC, Kambe G, Nishikawa S, Menju T, Morinibu A, Okochi Y, Tabuchi Y, Onodera Y, Takeda N, Date H, Semenza GL, Hammond EM, Harada H.EMBO Rep. 2023 Jan 9;24(1):e54042. p53が不活性化している状況においてHIF-1の転写活性を増強する新規遺伝子であるZBTB2をスクリーニングによって特定した。ZBTB2はHIF-1の転写活性を増強することがvitro で確認され、p53変異を伴う肺癌患者での予後不良因子であった。ホモロジーモデリングの手法でZBTB2の構造を推定し、N末端部で二量体を形成するのに必須の4アミノ酸を特定し、N末端部のtruncation mutant がZBTB2活性を抑制し、治療ターゲットとなる可能性を示唆した。
  • “Unilateral reduction of fluorine-18 deoxyglucose accumulation in brown adipose tissue by sympathectomy for hyperhidrosis.” Shirakawa C, Koyasu S, Takada M, Toi M, Nakamoto Y. Clin Nucl Med. 2023 Jan 1;48(1):79-80. 褐色脂肪へのFDG集積が片側性に生じ、乳癌のステージングに影響を及ぼした症例を経験した。片側性の集積の原因は多汗症に対する交感神経切断術であることが判明した。
  • “A von Hippel-Lindau disease-associated microcystic adenoma of the ethmoid sinus mimicking metastatic clear cell renal cell carcinoma.” Tsukamoto S, Koyasu S, Sugimoto A, Matsunaga M, Nakamoto Y. Clin Nucl Med. 2023 Feb 1;48(2):194-196. VHL関連の篩骨洞発生のmicrocystic adenoma はこれまでまだ少数例の報告しかない。今回、当初腎の淡明細胞癌の転移と考えられ手術されたがその後再発し、免疫組織化学染色によりVHL関連の篩骨洞発生のmicrocystic adenoma だと診断された症例を経験した。
  • “Inverted FDG-uptake pattern in Subcutaneous Panniculitis-like T-Cell Lymphoma.” Koyasu S, Sugimoto A, Nakamoto Y.” Clin Nucl Med. 2023 Feb 1;48(2):186-187. 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫(SPTCL)は、脂肪組織に広がる病変への強いFDG集積にくらべ、リンパ節への腫瘍浸潤はないことが多い。今回リンパ節周囲では集積が逆転したような特徴的なFDG集積を呈し、画像診断の根拠となった症例を経験した。
 

< 2022年 >

  • “Detection efficacy of PET/CT with 18 F‑FSU‑880 in patients with suspected recurrent prostate cancer: a prospective single‑center study.” Otani T, Saga T, Ishimori T, Kidera E, Shimizu Y, Aizawa R, Nakamura K, Goto T, Akamatsu S, Mizowaki T, Nakamoto Y. Ann Nucl Med. 2022;36(3):302-309. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)の阻害剤を18Fで標識したPET製剤である18F-FSU-880の再発前立腺癌に対する病変検出能を検討した。71%の症例で1つ以上の病変が検出され、良好な病変検出能を示した。
  • “Application of a Flexible PET Scanner Combined with 3 T MRI Using Non-local Means Reconstruction: Qualitative and Quantitative Comparison with Whole-Body PET/CT” .Watanabe M, Kawai-Miyake K, Fushimi Y, Ishimori T, Nakajima A, Yoshimura M, Kikuchi M, Ohno K, Nakamoto Y. Mol Imaging Biol. 2022 Feb;24(1):167-176. PET/MRは非常に高価であり、なかなか本邦でも導入が進んでいないのが現状です。我々の可搬型PETは3T MRIにも取り付けが技術的に可能です。可搬型PETをCTAC、MRACで吸収補正を行い、それと本学のDiscovery IQ (Q. clearで再構成)の全身用PET/CTの同一患者の画像の間で、1)位置ずれ精度、2)病変検出率、3) 定量値の比較・相関性を検討しました。phatom実験結果や実症例での画質の検討では可搬型PETのCTAC、MRAC画像は全身用PET/CTと比較してやや劣っていましたが、病変検出率ではこれらに有意差はありませんでした。実症例での可搬型PETのCTAC、MRAC画像は、全身用PET/CTに比較してSUVmaxは有意に高く、MTV、TLGは有意に低い傾向にあり、またこれらの間では定量値に良好な正の相関がありました。病変検出率や定量性においては、3T MRIと併用した可搬型PETの画像は臨床的に有用であることが示されました。
  • “18F-FDG PET/CT Findings of G-CSF-Producing Gallbladder Cancer.” Sasaki F, Nakamoto R, Tokunaga K, Ishida A, Umeoka S. Clin Nucl Med. 2022;47(4):e368-e369. 特徴的な18F-FDG PET/CT所見(骨髄への生理的集積亢進およびCTで骨髄濃度上昇)を呈したG-CSF産生胆嚢癌の一例を経験した。G-CSF産生腫瘍は一般に急速増大する予後不良の疾患であり、特徴的なPET/CT所見に基づく早期診断が画像診断医には求められる。
  • “Phantom study of SPECT/CT augmented reality for intraoperative localization of sentinel lymph nodes in head and neck melanoma.” Nakamoto R, Zhuo J, Guja KE, Duan H, Perkins SL, Leuze C, Daniel BL, Franc BL. Oral Oncol. 2022 Feb;125. SPECT/CT画像を基に作成した3DホログラムをARグラスに表示できるアプリケーションが開発された。我々は、発砲スチロールマネキンを用いた実験で、ARグラスと従来のγプローブから得られる情報を併用することでγプローブを単独で使用する時に比べて術中のセンチネルリンパ節をより迅速に検出できる可能性があることを報告した。
  • “Combined quantification of 18F-FDG and 68Ga-DOTATATE PET/CT for prognosis in high-grade gastroenteropancreatic neuroendocrine neoplasms.” Lee H, Nakamoto R, Moore SE, Pantel AR, Eads JR, Aparici CM, Pryma DA. Acad Radiol. 2022;29(9):1308-1316. 68Ga-DOTATATE PETと18F-FDG PETの定量値を複合したFDZスコア(68Ga-DOTATATE PETと18F-FDG PETを同時期に撮像した患者において、68Ga-DOTATATE PET上の病変部SUVmaxのZスコアから18F-FDG PET上の病変部SUVmaxのZスコアを差分した値)が高悪性度の膵・消化管神経内分泌腫瘍の患者の予後予測に有用であることを報告した。
  • “Development of a novel Indium-111 radiolabeled mogamulizumab targeting CCR4 for imaging adult T-cell leukemia/lymphoma in vivo.” Shimizu Y, Koyasu S, Suzukida M, Izumi K, Kidera E, Shindo T, Saga T, Ono M, Takaori-Kondo A, Nakamoto Y. Ann Nucl Med. 2022;36(3):319-326. 成人T細胞白血病の腫瘍細胞に発現するCCR4をターゲットとする新規SPECT製剤として、[111In]In-DTPA-mogamulizumab を創製した。培養細胞、皮下腫瘍マウスモデルでその高い特異性や集積性が確認され、報告した。
  • “Association between diffuse renal uptake of 18F-FDG and acute kidney injury.” Kidera E, Koyasu S, Hayakawa N, Ishimori T, Nakamoto Y. Ann Nucl Med. 2022;36:351-359. 両腎臓におけるFDGのびまん性集積亢進は急性の腎障害の存在を示唆し、腎機能の改善とともに消失する可能性があることを報告した。
 

< 2021年 >

  • “Qualitative and Quantitative Assessment of Non-local means Reconstruction Algorithm in a Flexible PET Scanner.” Watanabe M, Nakamoto Y, Nakamoto R, et al. AJR Am J Roentgenol. 2021;216:486-493. PETの正則化の手法としてはGE社のQ clearなどが有名です。 それと同様に正則化の手法である non-local means(NLM)法を用いて可搬型PETの画像を再構成し、 ノイズ低減に一定の効果を得ることができました。 正則化の手法では一般的にpost-filteringがなく部分容積効果の影響が低減され、 小病変の評価にも優れています。
  • “Synthesis and evaluation of gallium-68-labeled nitroimidazole-based imaging probes for PET diagnosis of tumor hypoxia.” Shimizu Y, Nakai Y, Iikuni S, Watanabe H, Nakamoto Y, Ono M. Ann Nucl Med., 35(3):360-369 (2021). 腫瘍内低酸素状態をPET診断するための新たな68Ga標識薬剤を開発し、低酸素環境下細胞に特異的に集積すること、担がんモデルマウスを用いたPET撮像にて腫瘍を描出できることを報告しました。
  • “Increased [18F]FMISO accumulation under hypoxia by multidrug-resistant protein 1 inhibitors.” Shimizu Y, Nakai Y, Watanabe H, Iikuni S, Ono M, Saji H, Kuge Y, Saga T, Nakamoto Y. EJNMMI Res., 11(1):9 (2021). 低酸素PET診断剤”[18F]FMISO”が低酸素環境下細胞内にて還元代謝後にグルタチオン抱合体を形成することに着目し、グルタチオン抱合体の細胞外排泄トランスポーター”MRP-1”阻害薬を共投与した担がんモデルマウスを用いてFMISO-PET撮像を行ったところ、[18F]FMISOの腫瘍集積量が増加することを見出しました。この結果より、MRP-1阻害能を有する薬物を服用している患者さんにFMISO-PET撮像を行う際には、低酸素状態に加えて併用薬剤により腫瘍内の放射能量が増加することを考慮する必要があることが示唆されました。
  • “Angiomatous Nasal Polyp Diagnosed by Preoperative Imaging and Successfully Resected by Endonasal Endoscopic Surgery: A Case Report.” Iemura-Kashiwagi M, Kikuchi M, Koyasu S, Kitada Y, Sugimoto A, Haga H, Nakamoto Y, Nakagawa T, Omori K. Cureus. 2021;13(10):e18786. 特徴的な画像所見を呈した鼻腔の巨大腫瘤で術前に診断し得たAngiomatous Nasal Polypの症例を報告しました。FDGの集積は低く、高悪性度腫瘍を除外できた点で有用でした。
  • “111In-Pentetreotide Uptake Due to COVID-19 Vaccination.”Koyasu S, Nakamoto Y. Clin Nucl Med. 2021 Oct 4. FDGなどでは有名なCOVID-19ワクチン後のリンパ節への集積が、ソマトスタチン受容体イメージングであるオクトレオスキャンでも見られました。
  • “Two Cases of Epstein-Barr Virus-Positive Mucocutaneous Ulcer Mimicking Head and Neck Cancers in 18F-FDG PET/CT.” Kawamura H, Koyasu S, Sugimoto A, Nakamoto Y. Clin Nucl Med. 2022;47(1):e105-e107. EBVMCUは粘膜肥厚と強いFDG集積を伴うリンパ増殖性疾患で、画像上は頭頸部癌によく類似します。いわゆるMTXLPDと病理組織像は類似しますが、局所に限局し、予後が良好である点で画像診断が重要です。二例について報告しました。
  • “Diffuse Large B-cell Lymphoma: Unexpected Uptake Observed on Cardiac 123I-MIBG Scintigraphy.” Sakurada H, Koyasu S, Sugimoto A, Nakanishi E, Nakamoto Y. Clin Nucl Med. 2021;46(10):850-852. DLBCLの病変に対してMIBGシンチが集積した症例を経験しました。
  • “A Proposed Dedicated Breast PET Lexicon: Standardization of Description and Reporting of Radiotracer Uptake in the Breast.” Miyake KK, Kataoka M, Ishimori T, Matsumoto Y, Torii M, Takada M, Satoh Y, Kubota K, Satake H, Yakami M, Isoda H, Ikeda DM, Toi M, Nakamoto Y. Diagnostics (Basel). 2021 Jul 15;11(7):1267. 乳房専用PETでは、集積の有無・程度のみならず、その空間分解能の高さから集積の形態や分布の評価も可能です。このprocol paperでは、これらの所見を記載するための”所見用語”とその定義を、国内外の有識者の先生方と策定し、「dbPETレキシコンversion 1」(https://www.mdpi.com/2075-4418/11/7/1267)としてまとめました。評価項目は画質、背景乳腺集積、病変の三部構成となっています。乳房専用PETの読影の際には是非ご利用ください。
  • “The Clinical Utility of 18F-Fluciclovine PET/CT in Biochemically Recurrent Prostate Cancer: an Academic Center Experience Post FDA Approval.” Nakamoto R, Harrison C, Song H, Guja KE, Hatami N, Nguyen J, Moradi F, Franc BL, Aparici CM, Davidzon G, Iagaru A. Mol Imaging Biol. 2021;23(4):614-623. 生物学的再発の165人の前立腺癌患者において、18F-Fluciclovine PET/CTの陽性率は67%であった。また、18F-Fluciclovine PET/CTの画像所見に基づいて62%の患者の治療方針が変更された。PSMA PET/CTなどの有用な検査の臨床導入が進みつつあるが、依然18F-Fluciclovine PET/CTは生物学的再発の前立腺癌患者において有用な画像診断ツールであると考えられた。
  • “Prognostic Value of Bone Marrow Metabolism on Pretreatment 18F-FDG PET/CT in Patients with Metastatic Melanoma Treated with Anti-PD-1 Therapy.” Nakamoto R, Zaba LC, Liang T, Reddy SA, Davidzon G, Aparici CM, Nguyen J, Moradi F, Iagaru A, Franc BL. J Nucl Med. 2021;62(10):1380-1383. 抗PD-1抗体投与前の悪性黒色腫患者において、18FDG-PET/CT上の骨髄生理的集積が、腫瘍-宿主相互作用により惹起される全身の炎症反応と相関しており、骨髄集積の亢進した患者は抗PD-1抗体薬に治療抵抗性を示す可能性があることを報告した。
  • “Pilot-phase PET/CT study targeting integrin αvβ6 in pancreatic cancer patients using the cystine-knot peptide-based 18F-FP-R0 1-MG-F2.” Nakamoto R, Ferri V, Duan H, Hatami N, Goel M, Rosenberg J, Kimura R, Wardak M, Haywood T, Kellow R, Shen B, Park W, Iagaru A, Gambhir SS. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2021 Nov 3. シスチンノットペプチドを用いて新たに開発されたPET製剤(knottin PET)は、膵癌などの悪性腫瘍に高発現しているインテグリンαvβ6に特異的に集積する。15人の膵癌患者に対してknottin PETを投与して計測した実効線量は、他のPET製剤と同等であった。また、knottin PET/CTは造影CTとの比較検討で膵癌のステージングに実行可能であると考えられた。
  • “ Physiological FDG uptake in growth plate on pediatric PET.” Otani T, Ishimori T, Nakamoto Y. Asia Ocean J Nucl Med Biol. 2021;9(1):15-20. 小児の骨端線のFDG集積を検討した。年齢や部位により集積の程度は異なり、大腿骨遠位では他と比べ集積が高い。
  • “Whole-body PET Imaging of T-cell Response to Glioblastoma.” Nobashi TW, Mayer AT, Xiao Z, Chan CT, Chaney AM, James ML, Gambhir SS. Clin Cancer Res. 2021;27(23):6445-6456. OX40は活性化CD4陽性制御性T細胞の表面に強く発現する共刺激分子である。癌ワクチン免疫療法によって活性化されたCD4陽性T細胞を、Zr−89標識OX40抗体PETにてイメージングすることで、どのように全身のリンパ節が治療に反応し活性化するかを描出することに成功した。難治性脳腫瘍である膠芽腫モデルマウスを同所性に作成し、癌ワクチン免疫療法後にZr-89 OX40mAb PETを実施すると、ワクチン接種部位の腋窩リンパ節や腫瘍のドレナージリンパ節を主としたリンパ節への強い集積をみとめ、フローサイトメトリーにてOX40陽性T細胞の増加を確認した。また癌ワクチンにて著明な腫瘍縮小効果をみとめた。今後、Zr-89 OX40mAb PETは免疫療法の治療効果のモニタリング手法として臨床への応用が期待される。
  • “Diagnostic performance of 68Ga-DOTATOC PET/CT in tumor-induced osteomalacia.” Kato A, Nakamoto Y, Ishimori T, Hayakawa N, Ueda M, Temma T, Sano K, Shimizu Y, Saga T, Togashi K. Ann Nucl Med. 2021;35(3):397-405. 臨床的に腫瘍性骨軟化症(TIO)が疑われ、他モダリティで診断がつかなかった35人の患者に68Ga-DOTATOC PET/CTを施行したところ、20人(57%)で原因と考えられる病変が検出された。病変には間葉系腫瘍以外に、線維性骨異形成症や肺癌も含まれた。病変のSUVmax中央値は6.9で、血清intact FGF-23値とDOTATOC陽性/陰性、SUVmaxとの間にそれぞれ有意な相関はみられなかった。
 

< 2020年 >

  • “Prognostic Value of Quantitative Parameters of 18F-FDG PET/CT for Patients With Angiosarcoma.” Kato A, Nakamoto Y, Ishimori T., et al. AJR Am J Roentgenol. 2020;214:649-657. 血管肉腫におけるFDG-PET/CT検査では、 高グレード(中〜低分化)であるほど原発巣の集積が有意に高く、 また原発巣の集積ならびに全身の腫瘍量を反映するパラメータは、 全生存期間の有意な予後因子となることを示しました。
  • “Prognostic utility of FDG PET/CT in advanced ovarian, fallopian and primary peritoneal high-grade serous cancer patients before and after neoadjuvant chemotherapy.” Watanabe M, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. Ann Nucl Med. 2020;34:128-135. 卵巣癌、卵管癌、腹膜癌のhigh-grade serous typeの症例で、 NAC後にinterval debulking surgery(IDS)で肉眼的に完全な腫瘍摘出を行ったものを 対象に予後予測研究を行いました。 NAC後のFDG PET/CTの定性的な視覚評価を行い、 有意集積が消失した群では有意集積が残存した群より 有意に予後が良いことを示しました。
  • “Usefulness of gradient tree boosting for predicting histological subtype and EGFR mutation status of non-small cell lung cancer on 18F FDG-PET/CT. ” Koyasu S, Nishio M, Isoda H, et al. Ann Nucl Med. 2020;34:49-57. FDG集積とCTでの形態学的特徴を用いた機械学習を行いました。 gradient tree boosting (XGBoost)とBayesian optimization を組み合わせることで、 肺癌における組織型、遺伝子型診断に有用であることを報告しました。
  • “Hyperestrogenism on 18F-FDG PET/CT in a Patient With Estrogen-Producing Ovarian Clear Cell Carcinoma.” Koyasu S, Otani T, Minamiguchi S., et al. Clin Nucl Med. 2020;45:e320-e322. 健診発見の巨大卵巣腫瘍。サイズのわりに集積が低く、 また両側乳腺の発達と集積がみられ、ホルモン産生卵巣腫瘍が考えられました。 手術標本では明細胞腺癌の診断でした。明細胞腺癌は充実部への集積が低いことがあり、またホルモン産生を伴う腫瘍は両悪性含めて様々な組織型が報告されているため、 それのみで癌を否定すべきできはありません。
  • “Performance Evaluation of a Newly Developed MR-Compatible Mobile PET Scanner with Two Detector Layouts.” Watanabe M, Nakamoto Y, Nakamoto R, et al. Mol Imaging Biol. 2020;22:407-415. 既存のMRIに外付けしてPETとMRIの融合画像を得ることができる可搬型PETを島津製作所と共同開発しました。3D DRAMA法という手法で 再構成をしています。可搬型PETでは135度のpartial ringでできた2個の検出器で構成されており、欠損部による画像の劣化が懸念されています。 それをtime-of-flight(TOF)などの技法を駆使して良好な画像を得る工夫をしています。

< 2019年 >

  • “Increased 14C-acetate accumulation in IDH-mutated human glioblastoma: implications for detecting IDH-mutated glioblastoma with 11C-acetate PET imaging.” Koyasu S, Shimizu Y, Morinibu A, et al. J Neurooncol. 2019;145:441-447. 膠芽腫におけるIDHの変異は2016年からWHO分類に取り入れられました。 変異型IDHは酵素活性に変化が生じ、 細胞内に2hydroxyglutarate が蓄積することが知られています。 その現象に着目し、IDH変異型膠芽腫細胞で酢酸取り込みが上昇することを 培養細胞とマウス腫瘍モデルで実証し、 11C酢酸PETの臨床研究に続く知見を得ました。
  • “Clinical utility of 68Ga-DOTATOC positron emission tomography/computed tomography for recurrent renal cell carcinoma.” Nakamoto Y, Ishimori T, Shimizu Y, et al. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2019;46:1524-1530. ソマトスタチン受容体イメージングのDOTATOC-PET/CT検査は、 淡明細胞型腎細胞癌の術後にも有用であり、 FDG-PET/CTと相補的な役割を持つ可能性を明らかにしました。
  • “Initial evaluation of PET/CT with 18F-FSU-880 targeting prostate-specific membrane antigen in prostate cancer patients.” Saga T, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. Cancer Sci. 2019;110:742-750. 新しく開発したPSMAプローブ 18F- FSU-880のfirst-in-man試験を実施し、 18F-FSU-880 PET/CTを安全に実施できることを確認するとともに、 前立腺がん患者におけるプローブの体内動態、 病巣への集積性を評価しました。
  • “Clinical feasibility of early scanning after administration of 68Ga-DOTATOC.” Nakamoto Y, Ishimori T, Sano K, et al. Ann Nucl Med. 2019;33:55-60. DOTATOC-PET/CT検査では、68Ga-DOTATOCを投与して 1時間待たずに30分後から撮像を開始したとしても、 十分診断能を有する画像が得られることを示しました。 2020年久田賞 銅賞 受賞論文!

< 2018年 >

  • “Regulatory mechanisms of hypoxia-inducible factor 1 activity: Two decades of knowledge.” Koyasu S, Kobayashi M, Goto Y, et al. Cancer Sci. 2018;109:560-571 近年着目されている腫瘍の微小環境の一つとして「低酸素」が挙げられます。 画像化についてFMISOなど核医学領域への期待も大きいですが、 低酸素状態において腫瘍に悪性形質を獲得させる転写因子であるHIF-1について、 20年の歴史と最近の知見を概説しました。 本稿出版の翌年(2019年)、まさにFig. 1に顔写真を掲載した 三人の博士がノーベル生理学医学賞を受賞されました。
  • “Enhanced intestinal 2-deoxy-2-[18F]fluoro-D-glucose uptake under metformin is not fully suppressed by loperamide.” Nobashi T, Saga T, Nakamoto Y, et al. Endocr Regul. 2018;52:185-191. メトホルミンによる腸管へのFDG集積は未解明です。 腸管蠕動を抑制する目的で投与したロペミンでは 集積の抑制は不十分となりました。
  • “Impact of physiological hormonal fluctuations on 18F-fluorodeoxyglucose uptake in breast cancer.” Miyake KK, Nakamoto Y, Saji S, et al. Breast Cancer Res Treat. 2018;169:437-446. 乳癌luminal A-like tumorにおいて、月経周期の時期により 腫瘍のFDG集積の程度が異なる可能性を示しました。
  • “The influence of elevated hormone levels on physiologic accumulation of 68Ga-DOTATOC.” Watanabe M, Nakamoto Y, Koyasu S, et al. Ann Nucl Med. 2018;32:191-196. 68Ga-DOTATOC PET/CTの正常臓器への生理的集積がホルモン値によってどのような影響を受けるかという研究です。 ホルモン値が高い症例であっても腫瘍/バックグラウンド比は下がらず、画像評価への影響は少ないことが示されました。 また高ACTH値の群ではおそらくcortisol値への影響を介して下垂体での68Ga-DOTATOCの集積が有意に低いことが示されました。
  • “Intra- and inter-observer agreement in the visual interpretation of interim 18F-FDG PET/CT in malignant lymphoma: influence of clinical information.” Arimoto MK, Nakamoto Y, Higashi T, et al. Acta Radiol. 2018;59:1218-1224. 悪性リンパ腫の早期治療効果判定PET/CTの読影において、読影者間・読影者内の再現性は、臨床情報の有無によらず、 リンパ節病変において非常に高く、節外病変において低いことを示しました。
  • “Comparison of PET/CT with Sequential PET/MRI Using an MR-Compatible Mobile PET System.” Nakamoto R, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. J Nucl Med. 2018;59:846-851. 既存のMRI装置に組み合わせてPET/MRIに拡張可能な着脱移動型のPET装置に対し、撮像パラメータを適切に調整することで、 低コストで質の高いPET/MRI画像が得られることを示しました。
  • “Predictability of 99mTc-Galactosyl Human Serum Albumin Scintigraphy for Posthepatectomy Liver Failure.” Kato A, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. AJR Am J Roentgenol. 2018;210:158-165. 99mTc-GSAシンチグラフィは術後肝障害の予測に有用であり、特にSPECTを用いて正確な切除線を引いた場合に得られるパラメータは 有用な予後指標となりうることを示しました。

< 2017年 >

  • “Higher breast cancer conspicuity on dbPET compared to WB-PET/CT.” Nishimatsu K, Nakamoto Y, Miyake KK, et al. Eur J Radiol. 2017;90:138-145. 乳房専用PETは全身用PET/CTに比して乳癌に対する より高い被視認性が得られることが示され、 乳癌の早期発見に役立つ可能性が示唆されました。
  • “Diagnostic performance of a novel dedicated breast PET scanner with C-shaped ring detectors.” Nakamoto R, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. Nucl Med Commun. 2017;38:388-395. 高解像度、高感度型の乳房用近接撮像型PETシステムが、 従来のPETよりも、1.0cm以下の小病変の検出に有用であることを示しました。
  • “Gastric motility and emptying assessment by magnetic resonance imaging after lung transplantation: correlation with gastric emptying scintigraphy.” Hayakawa N, Nakamoto Y, Chen-Yoshikawa TF, et al. Abdom Radiol (NY). 2017;42:818-824. 肺移植後の患者において、 MRIから得られた胃の蠕動や内容物排出に関するパラメーターが、 胃排出シンチグラフィの結果と一定の相関を認め、 MRIが胃排出遅延の評価に有用であることを示しました。
  • “18F-Fluorodeoxyglucose Uptake in Anti-N-Methyl-D-Aspartate-Receptor Encephalitis Associated With an Immature Teratoma.” Nakamoto R, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. Clin Nucl Med. 2017;42:157-160. 若年女性に発生した卵巣未熟奇形種に対する術前精査PET/CTで、 抗NMDA受容体脳炎の所見を偶然捉えることができた 稀な1例を症例報告しました。

< 2016年 >

  • “Clinical, Morphologic, and Pathologic Features Associated With Increased FDG Uptake in Schwannoma.” Miyake KK, Nakamoto Y, Kataoka TR, et al. AJR Am J Roentgenol. 2016 Dec;207(6):1288-1296. Epub 2016 Sep 22. 神経鞘腫は良性でも時に高いFDG集積を呈し、 消化管由来、peritumoral lymphoid cuff陽性の神経鞘腫に 高集積が見られる傾向を明らかにしました。
  • “18F-FDG Uptake in Less Affected Lung Field Provides Prognostic Stratification in Patients with Interstitial Lung Disease.” Nobashi T, Kubo T, Nakamoto Y, et al. J Nucl Med. 2016 Dec;57(12):1899-1904. Epub 2016 Jun 23. 間質性肺疾患において 最も異常の少ない肺野におけるFDG集積が 独立した予後因子となることを示しました。
  • “Clinical Significance of Quantitative 123I-MIBG SPECT/CT Analysis of Pheochromocytoma and Paraganglioma.” Nakamoto R, Nakamoto Y, Ishimori T, et al. Clin Nucl Med. 2016 Nov;41(11):e465-e472. 123I-MIBGのSPECT画像に対しPET同様の定量的手法を用いることで、 初学者でも褐色細胞腫の正確な診断・鑑別が可能になることを示しました。
  • “(11)C-methylaminoisobutyric acid (MeAIB) PET for evaluation of prostate cancer: compared with (18)F-fluorodeoxyglucose PET.” Arimoto MK, Higashi T, Nishii R, et al. Ann Nucl Med. 2016 Oct;30(8):553-62. doi: 10.1007/s12149-016-1098-3. Epub 2016 Jun 21. PET診断用の新規アミノ酸製剤11C-MeAIBが、臨床的前立腺癌に集積し、 前立腺癌の検出に関して18F-FDGと相補的な関係であることを示しました。
  • “Clinical efficacy of dual-phase scanning using (68)Ga-DOTATOC-PET/CT in the detection of neuroendocrine tumours. Clin Radiol. 2016;71:1069.e1-5.” Nakamoto Y, Ishimori T, Sano K, et al. DOTATOC-PET/CT検査で通常の60分後に加えて90分後の遅延撮像に 臨床的意義があるかを検討し、診断精度は変わらないが、 確信度に影響を及ぼす可能性があることを示しました。
  • “The utility of PET/CT with (68)Ga-DOTATOC in sarcoidosis: comparison with (67)Ga-scintigraphy.” Nobashi T, Nakamoto Y, Kubo T, et al. Ann Nucl Med. 2016 Oct;30(8):544-52. doi: 10.1007/s12149-016-1095-6. Epub 2016 Jun 7. DOTATOC PETは、サルコイドーシスの活動性病変において、 従来のガリウムシンチと比較して同等あるいはそれ以上の描出能を示しました。
  • “The predictive value of preoperative 18F-fluorodeoxyglucose PET for postoperative recurrence in patients with localized primary gastrointestinal stromal tumour.” Miyake KK, Nakamoto Y, Mikami Y, et al. Eur Radiol. 2016 Dec;26(12):4664-4674. Epub 2016 Feb 6. 孤発性原発性GISTにおける術前FDG PET検査は、根治切除後の再発予測に有用であり、 集積パターンが従来のリスク分類と並んで独立の予後予測因子となることを示しました。
  • “Evaluation of Tumor-associated Stroma and Its Relationship with Tumor Hypoxia Using Dynamic Contrast-enhanced CT and (18)F Misonidazole PET in Murine Tumor Models.” Koyasu S, Tsuji Y, Harada H, et al. Radiology. 2016;278:734-41 マウス膵癌腫瘍モデルに対して dynamic の遅延相を解析することで 腫瘍間質の画像化を可能にしました。 一方で、FMISO-PETで腫瘍低酸素を評価したところ 腫瘍間質はむしろ低酸素領域とは異なっていたが、 腫瘍間質は比較的血流量が豊富であることが起因していると考えられました。
  • “Prognostic value of fluorine-18 fludeoxyglucose positron emission tomography parameters differs according to primary tumour location in small-cell lung cancer.” Nobashi T, Koyasu S, Nakamoto Y, et al. Br J Radiol. 2016;89(1059):20150618. doi: 10.1259/bjr.20150618. Epub 2016 Jan 12. 肺小細胞癌の予後因子をFDG PETで検討したところ、中枢型では病期が、 末梢型ではPETで描出される全腫瘍量が独立した予後因子となりました。

< 2015年 >

2015年以前の業績は、京都大学医学部附属病院 放射線診断科の 研究業績のページに掲載しています。